“夏の終わりに観たい”おススメの友情映画3選

「友人が無ければ世界は荒野に過ぎない」

“夏の終わりに観たい”おススメの友情映画3選
ノスタルジーを感じずにはいられない“夏の終わり”。

ふと、かけがえのない友情を育んだ遠い夏の日の出来事を思い出すことはないだろうか

「真の友をもてないのはまったく惨めな孤独である。友人が無ければ世界は荒野に過ぎない」

哲学者フランシス・ベーコンの言葉である。

恋愛と異なり、駆け引き無く、純粋な共感と信頼によって成り立つ“友情”は、夏の甘酸っぱい思い出と共に、時が過ぎても変わらずそっと寄り添っていてくれるかけがえのない宝物。

今回は、そんな唯一無二の“友情”をベースに描いた3作品を紹介したい。

Stand by Me/アメリカ/1986年

Stand by Me/アメリカ/1986年
監督:ロブ・ライナー
出演:リバー・フェニックス、ウィル・ウィートン、リチャード・ドレイファス

*ストーリー
作家ゴーディ(リチャード・ドレイファス)は、ある新聞記事をきっかけに12歳の少年時代に思いをはせる。

12歳のゴーディ(ウィル・ウィートン)は3人の仲間、クリス(リバー・フェニックス)、テディ(コリー・フェルドマン)、バーン(ジェリー・オコネル)らと、生まれて初めて外泊、2日間の旅に出る。

目的は行方不明のまま列車にはねられ、野ざらしになっているという噂の少年の死体を探しに行く事だった。

*解説
「12歳の時のような友達を二度ともつ事はできない、誰だって…」というセリフが心の琴線に触れる少年映画の秀作。

公開当時、ジェームス・ディーンの再来と騒がれたリバー・フェニックスや、キーファー・サザーランドを世に送り出した作品としても有名。

原作はモダン・ホラーの大家スティーヴン・キングの短編集に収められた「THE BODY」。

1950年代のオレゴン州の小さな町キャッスルロックに住む、それぞれ心に傷を持った4人の少年たちが好奇心から線路づたいに死体探しの旅に出るという、ひと夏の冒険を描いている。

4人が線路づたいに歩くその姿は「早く大人になりたい」という願望と、逆に何かをひとつひとつ失っていく「大人になるという事」の虚しさを象徴しているように思えて印象的。

少年期特有の繊細で傷つきやすい心情がつぶさに描かれていて、中でもクリス役のリバー・フェニックスの演技が光る。

森の中で、父親から愛されていないと悲観しているゴーディ(ウィル・ウィートン)にクリス(リバー・フェニックス)が「君の親がやらないなら、俺が守ってやる」と言う場面は胸を締め付けられる。

タイトルにもなっているベン・Eキングの名曲「スタンド・バイ・ミー」が流れるラストシーンも感動的。

La Grand Blue/フランス・イタリア/1988年

La Grand Blue/フランス・イタリア/1988年
監督:リュック・ベッソン
出演:ロザンナ・アークエット、ジャン=マルク・バール、ジャン・レノ

*ストーリー
ギリシャの島で幼馴染として育ったジャック(ジャン=マルク・パール)とエンゾ(ジャン・レノ)。

潜りを競い合っていた二人は、ダイバーであるジャックの父の死を目撃し、大きな衝撃を受ける。

やがて成長した二人はコート・ダジュールで20年振りに再会する。エンゾは一流ダイバーになり、ジャックはイルカだけを友として静かに暮らしていた。

シチリア島で開催されるフリーダイビングの競技会にジャックを誘うエンゾ。アンデスで偶然ジャックと出会い、その不思議な魅力に惹かれていくジョアンナ(ロザンナ・アークエット)。

三人はシチリア島で再び出会い、運命の物語が幕を開ける…

*解説
フリーダイビングの世界記録に挑む二人のダイバーの友情、そして海でしか生きられない男に魅せられた女性の心の葛藤を描く海洋ロマン。

ベッソン監督が、自身の長年の夢だった「イルカに魅せられた潜水夫の物語」を実在のダイバー、ジャック・マイヨールの協力を得て映画化。

公開時、ハイティーンを中心に熱狂的に指示され、社会現象にまでなった。

どこまでも深い“碧の世界”は恐ろしい位に美しく、そこへ引き込まれていく感覚に圧倒される。

「人魚のために死んでもいいと決意すると、人魚たちがその愛を確かめに近づいてくる。その愛が真実で、人魚の意にかなう純粋な愛なら僕を永遠に連れて行く」

と語るジャックと「私の愛を見てきて」と送り出すジョアンナ。

様々な解釈ができる、ある種哲学的なラストシーンは、この作品を貫いている“そこでしか生きられない”愛の密度の濃さと深さを象徴しているように思える。

BAGDAD CAFE/ドイツ/1987年

BAGDAD CAFE/ドイツ/1987年
監督:パーシー・アドロン
出演:マリアンネ・ゼーゲブレヒト、CCH・パウンダー、ジャック・パランス、クリスティーネ・カウフマン

*ストーリー
ラスベガスを旅行中に、夫と大喧嘩をして車を降りてしまう一人のドイツ人女性、ジャスミン(マリアンネ・ゼーゲブレヒト)。

砂埃が吹きすさぶハイウェイを彼女は重いトランクを提げて歩き続け、モハーブ砂漠の中にある寂れたモーテル「バグダット・カフェ」に辿り着く。

そこには、いつも不機嫌な女主人のブレンダ(CCH・バウンダー)をはじめ、変わり者ばかりが集っていた。

相手を優しく包み込むような温かさと笑顔で、皆に接していくジャスミン。

殺伐としたカフェの住民たちは、次第にジャスミンに心を癒され、カフェには人々が集まる様になる。

*解説
アメリカ西部。モハーベ砂漠に佇む寂れたモーテル「バグダット・カフェ」にやって来たドイツ人の女性と、彼女をめぐる人々との交流を細やかに描いた作品。

冒頭から流れるジェヴェッタ・スティールが歌う「コーリング・ユー」のメロディ&歌詞が、映像と見事にマッチしている。

乾いた砂漠の昼下がり、セピアよりも赤みの強い、焼けたような映像が何とも言えない独特の空気感を醸し出す。

ヒステリックなブレンダと常に穏やかなジャスミン。一見正反対に見えながらも、共に傷を抱えている二人は次第に心を通わせていく。

ジャスミンの魅力で人気を取り戻したカフェのマジックショー。
そこでブレンダが歌う「浮世の悩みも魔法で消える」という歌詞は
“人生は、少しのユーモアと心の在り方で輝く”という事を教えてくれる。

ジャケットの馬鹿でかいタンクを一人掃除するジャスミンの姿が、この作品のメッセージを代弁している。

乾いた心を、いつの間にかスーッと潤してくれる作品だ。

友情は人を強くする

友情は人を強くする
「恋愛は人を強くすると同時に弱くする。友情は人を強くするばかりである」

という画家ボナールの言葉通り、固い友情で結ばれた友人との絆は、時間や空間を越えて心の支えになり続ける。

これらの作品が多くの人の共感をよぶのは、やはりそこなんだろうと思う。一人で楽しむのも良いけれど、女友達と一緒に観るのもおススメ。

ついでに、忘れられない夏の思い出話にも花が咲いて、アルバムを引っ張り出すシーンが目に浮かぶよう。

今回紹介した作品はオリジナル版はもちろん、ブルーレイやニュー・ディレクターズ・カット版なども発売されているので、より美しい映像を楽しむこともできますよ。